日本のメタバースの現状

今回は、日本におけるメタバースの現状を簡単にまとめてみました。

たぶん、この記事は半年か1年経過してから読み返すと面白いんじゃないかと思います。

日本のメタバースの現状

セカンドライフ

2003年にサービス開始。昨年末あたりから急成長を遂げ、2006年10月に100万人だったアカウント数が、2007年の10月には1000万人を突破しています。

日本では2006年後半から、ニュース系サイトで頻繁に取り上げられるようになり、2007年に入ってから一般の新聞や経済紙などでも「新しい経済市場」として話題になることが増えていきました。

パブリシティを目的とした企業の進出も相次ぎ、セカンドライフ内での建築/デザインを請け負う(リアルワールドの)ベンチャー企業も誕生しています。最近では、映画、TV番組、CM などをセカンドライフで撮影する試みも行われています。

2007年7月からは、日本語版クライアントの提供も開始。公式ガイドブックを初めとする「セカンドライフ本」もいくつか出版されています。

ただし、ビジネスサイドから熱い注目を集める一方で、ユーザサイドからの反応はやや鈍く、現時点ではまだヒットとは呼べない状況のようです。

それでも、現時点で日本で最も有名で最もユーザの多いメタバースであり、日本語の情報も充実しつあるので、来年以降に一挙にユーザを獲得する可能性はあるでしょう。

スプリューム

2007年3月からオープンαテスト開始。現時点で実際にプレイ可能です。

画面的には、アバター(スプリュームでは HUB と呼ぶ)がやや日本人好みになっている他は、セカンドライフっぽいレンダリングの感じですが、セカンドライフが仮想の土地を分譲するというモデルなのに対し、ユーザが自由に空間をホストできる ことが大きな違いとなっています。

技術的には、VRML 2.0 を独自拡張したフォーマットが定義されており、このフォーマットに従った空間をデザインし、任意の Web サイトにアップロード、既存の空間からリンクを貼ってもらうと、シームレスに空間が繋がってみえる、という仕組みのようです。

ActiveXのプラグインによる簡易クライアントの提供が計画されてるのも興味深い点です。ブログによる口コミの影響力というのは、結構大きいのでブログからワールドをちょっと覗けるというのは重要な要素かもしれません。

ゲーム内通貨は特にありませんが、空間内から通常のウェブ画面にアクセスすることが可能なので、既存のネットショップやアフィリエイトサイトと連携させて、仮想空間内でのクレジットカード決済を行うなんてことが可能のようです。

基本料金は無料で、有料アイテムを販売するアイテム課金方式のようですが、ユーザが空間外で作成したアイテムをアップロードすることは可能。この場合、公式サイトを通じてアップロードを行い、審査を経てから空間内にインポートすることになります。

ビジネスモデルとしては、プレミアムアカウントの提供や、アイテム課金、そしてワールド内への広告などを予定しているようです。今年の8月にはマイクロソフトとのコラボレーションイベントを、ワールド内で開催していて、このような動きも将来性を占う上で興味深いかもしれません。

他の国産サービスより先行していること、日本人の文化を意識したサービスであること、そして比較的ユーザ寄りの視点を大切にしているように思えることから、今後カジュアルユーザを中心にヒットする可能性があると思います。

meet-me

2007年内にαサービス開始予定。トランス・コスモス、フロム・ソフトウェア、産経新聞による合弁会社ココアによるカーナビの地図を元に、東京23区を再現したバーチャルワールド。主要なランドマークはリアルワールドと同じ場所に再現されますが、細部に関しては様々なアレンジが加えられるようです。

開発者は、東京を舞台としたメリットとして、ユーザにある程度の地理感覚があるので、最初の行動に困らないという点を挙げています。確かに日本人であれば誰でも渋谷/原宿/新宿/池袋/お台場そして秋葉原ぐらいの地名は知ってるので、とりあえず一通り見てみようという気分になる気がします。そこで何か興味深いものが見れればしばらく遊んでみる気になるかも。

将来的には、携帯電話などとの連携、UIの多国語対応なども計画されているようです。

UCC的要素は薄そうですが、魅力的なコンテンツやイベントが用意できればユーザの注目を集められると思います。スタジオぴえろやプロダクションアイジーなどの著名なアニメ製作会社や、デジタルアーカイブ大手のコービスと業務提携を結んでおり、コンテンツの充実にはかなり力を入れている様子。また、フジサンケイグループとの繋がりがあるので、この辺も強みになるかもしれません。

プレイステーション3@HOME

PS3専用のユーザコミニティです。来年春からサービス開始予定。

セカンドライフやスプリュームに比べると、圧倒的な高画質が印象的です。詳細についてはまだ不明点も多いのですが、断片的な情報を集めてみると、特徴としてはこんな感じ。

  • すべてのゲームは Home 内から起動可能
  • プライベートスペースは、自由に飾りつけ可能。
  • 物理エンジン搭載。ワールド内にはビリヤードなどもある
  • ワールド内の映画館で本物の映画が見れる(有料らしい)
  • Hall of Fame という部屋で、ゲームのスコアランキングなどが見れる
  • PS3のハードディスク内のコンテンツ(動画/静止画)をアップロード可能
  • マウス/キーボードではなく、コントローラによる操作が可能

印象としては、ソーシャルネットワーク的側面が強い感じがします。あるいは、ネットゲームのロビーに永続性を持たせ、すごくリッチにした感じ?

UCC的側面の薄さが気になりますが、PS3のゲームすべてがHOMEのコンテンツでもあると考えると、かなり賑やかな世界なのかもしれません。いい感じにゲームとワールドが相互作用を及ぼし合えると面白いことになる気がします。

売り上げが伸び悩んでいるという印象のあるPS3ですが、それでもすでに1000万台以上を出荷しており、仮にこのうちの1割の人が参加したとして、いきなり100万人の人口を獲得することになります。セカンドライフは100万人のユーザを獲得するまでに3年近くかかったことを考えると、これはかなり無視できない数字となるでしょう。ちなみに PS2 は1億台以上出荷されているそうです。

SBI サイバーメガシティ

金融持株会社SBIホールディングスの子会社とアニメ製作会社 STUDIO 4℃のジョイントベンチャーによる仮想世界。2007年サービス開始予定。

これも東京を舞台としたバーチャルワールドですが、meet-meと違い、東京湾上に巨大な人工島「東京0区」を建設し、そこを舞台にするという設定。AKIRAっぽいですね。

ネットファイナンスとバーチャルワールドを融合させた世界を構築するようですが、世界初の試みだそうで正直よくわかりません。

日本の企業としては珍しく Wiki が用意されていますが、まだあまり内容は充実していないようです。とりあえず、ギャラリーに掲載されているイメージイラストはかこいいと思います。

日本のメタバースに未来はあるか

今回取り上げたメタバースの他にも、携帯/モバイル系に特化したものや、アバターチャットの延長的なものも含めると、かなり多くのメタバース的なサービスが企画されています(すでに始まっているものも多い)。また、海外からもセカンドライフ以外にも日本でのサービスについてなんらかの言及をしているものがいくつかり、来年以降はかなり混沌とした状態になるのではないかと予想されます。

今年の5月、大手シンクタンク野村総研(NRI)が2012年までの三次元仮想世界の進展を予測したITロードマップを発表しました。

これによると、2009年から2010年にかけて、グラフィック性能が向上した PC の普及に伴い、急速に三次元仮想世界の利用が進み、2010年以降にはサーバーソフトウェアのオープンソース化やメタバース間のコンテンツの流通が行われるようになり、複数のメタバースが並存する「マルチバース」時代を迎えると予測しています。

私自身の予想では、自らはワールドを持たず、複数のメタバースに有用なサービスを提供するビジネスを誰かが成功させ、それをきっかけとして爆発的な普及が発生するのではないかと考えています。なので、マルチバース化は普及の結果ではなく、むしろ普及の必要条件じゃないでしょうか。

2007年現在の日本のメタバースの状況を単純化すると、新しいビジネスを熱く語る企業に対し、そこでどのような体験ができるのかわからないエンドユーザという構図にまとめられると思います。これが今後どのように変化していくのかは大変興味のあるところです。

謝辞

この記事を書くにあたり、メタバースガイドを参考にさせて頂きました。

by Myfuna at 2007年11月01日 07:32 Comment(0) TrackBack(1)
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